卵は1日何個までがいい?栄養成分から健康的な摂取量について解説!

ゆで卵は1日何個までがいい?栄養成分から健康的な摂取量について解説!

ゆで卵、目玉焼き、オムレツ、チャーハン・・・などなど、栄養価が高く 「完全栄養食品」 とも呼ばれる卵は、日々の食卓で並ぶ料理に使われていることも多い食材です。好きだからついついラーメンやハンバーグなどにトッピングしちゃう、という方もいるのでは?

そんな卵ですが、1日に食べてもいい個数はどれくらいなのかご存じでしょうか?「コレステロールが多いから1日1個まで」、「1日何個食べても問題ない」など、いろいろな意見を耳にした方も多いかもしれません。「結局1日で何個まで食べていいんだろう?」と悩んでしまいますよね。

この記事では、卵に含まれている成分をもとに、卵を食べる際に意識したい点を交えながら、1日何個までなら食べてもよいのか解説します。

なぜ「卵は1日1個まで」?

コレステロールが問題?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、コレステロールの1日の摂取目標量が設定されていました。

その目標量ですが、男性は750mg、女性は600mgが上限と決められていました[1]。コレステロールを取りすぎると様々な病気になりやすいとされていたので、そのような上限値が定められていたのです。

では、卵に含まれるコレステロールの量はどれくらいなのでしょうか?

卵はコレステロールが豊富!

卵に含まれるコレステロールは、1個(可食部50g)あたりおよそ190mgと多く、ゆで卵など、加熱したものにもほぼ同量が含まれています[2]

「日本人の食事摂取基準(2010年版)」で定められた目標量と比較すると、1日あたり卵3~4個を食べるだけで目標量を超えてしまう量です。

また、コレステロールはほかにも肉や魚、乳製品などに含まれますので、1日あたり卵を2個食べてしまうと目標量を超えてしまうおそれがあります。

そのため、「卵は1日1個まで」といわれるようになったのです。

コレステロールは悪者ではない?

そもそもコレステロールって?

コレステロールは、血液中に存在する物質の一種です。血中濃度が高い状態が続くと動脈硬化を引き起こし、循環器疾患(脳梗塞や心筋梗塞、狭心症など)の原因になります[3]

このような重い病気を引き起こす場合があるので、「コレステロールはよくないものなんだ」、と思っている方もいるのではないでしょうか?

実はそんなことはありません!むしろ重要な役割を持っています。悪者に見られがちなコレステロールですが、全身の細胞膜の材料になるほか、女性・男性ホルモンの原料、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁酸の主成分になるなど、私たちの身体にとって欠かせない働きをしているのです[4]

コレステロール摂取目標量が変更!

さらに、我々の体の中には、コレステロールを作る機能が備わっていることがわかっています。人間の体の中で作られる量は、全体の 7~8割ともいわれています[3]。裏を返せば、食事などから摂取されるコレステロールはそれほど多くないのです。

また、食事でたくさんコレステロールを取ったとしても、体の中で作られる分を調節することによって、全体の量をほぼ一定にする働きも持っていることがわかっています。

そのため、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、食事によるコレステロールの摂取基準値の上限が削除されることになりました[5][6]

つまり現在では、卵からコレステロールを多く摂ったからといって、血中コレステロールに与える影響は必ずしも大きくないと考えられるのです。

MEMO
  • 脂質異常症の方は注意が必要!

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、脂質異常症の重症化予防に1日あたりのコレステロール量を200mgまでと新たに追記されました[6]

また、体質によってコレステロールの摂取で血液中のコレステロールが上昇しやすい人も存在することもわかっています[7]

あまりにも取り過ぎるのは避けるようにしましょう。

コレステロールよりも注意したい成分がある?!

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飽和脂肪酸とは?

コレステロールのほかに、「飽和脂肪酸」にも注意が必要です。

脂肪酸とは脂質の材料となる物質で、そのうちの一種が飽和脂肪酸です。実は、この飽和脂肪酸をたくさん取ると、血中のコレステロールの量も増加するのです[6]

エネルギー源として重要な役割を持ちますが、多く取りすぎると肥満の原因になったり、血中コレステロール量を増やし過ぎてしまう原因となってしまいます。健康障害のリスクを高める可能性があるため、1日の総エネルギー摂取量の7%以下(18歳以上の男女)を目標量に定められています[6]

卵にはどれくらい含まれる?

飽和脂肪酸は主に肉の脂質やバターなどの動物性脂肪や植物油脂に多く含まれていますが、卵にも豊富に含まれており、1個(可食部50g)あたりおよそ1.4gの飽和脂肪酸が含まれています[2]

先ほどの1日の総エネルギー摂取量の7%をグラムに換算すると、(個人差はありますが)およそ13~15g程度になります。したがって、別の食材からも飽和脂肪酸は摂取されることを考えると、あまりに多くの卵をとるのは控えたほうがいいでしょう。

結局卵は1日何個まで?

他とのバランスから適度な個数を!

結局、卵は1日に何個まで食べるのが正解なのでしょうか。コレステロールの観点においては、多めに卵を食べたとしてもそれほど問題はないと考えられます。ですが、飽和脂肪酸の取りすぎに注意すれば、あまりたくさん食べるのもよいとは言えません。

また、「完全栄養食品」とも呼ばれるほど栄養豊富な卵ですが、食物繊維とビタミンCに関しては全く含まれていません[2]。つまり、これらの栄養素も補う必要があるということです。結局のところ、大事なのは全体的な食事のバランスなのです。

したがって、卵は1日1~2個食べることをおすすめします

一緒に食べたい食材は?

卵には食物繊維とビタミンCが全く含まれないので、この2つを多く含む食べ物を意識的に取ることで、バランスよく栄養を摂取することができるでしょう。

食物繊維は野菜や果物、イモ類、キノコ類などに多く含まれています。また、ビタミンCも多くの野菜や果物に含まれています。

おすすめは、食物繊維やビタミンCを多く含むジャガイモやパプリカ、キノコなどを入れた具だくさんのオムレツです。おいしく栄養を取ることができますよ。

卵を適切に取り入れよう!

卵は良質なたんぱく質の供給源であり、脂質やビタミン、ミネラルなどたくさんの栄養素を含んでいます。卵を食べるときはコレステロール量だけに注目せず、全体的な食事のバランスを考慮しながら、1日に1~2個程度を目安にするとよいでしょう。

もちろん卵をたくさん使う料理もありますが、そういった場合でも、例えば一週間で平均して1~2個程度になれば問題ないでしょう。

栄養豊富な卵をうまく取り入れて、食事から健康的な毎日をつくっていきましょう!

まとめ
  1. 卵はコレステロールが多いから1日1個まで、は昔の話!
  2. 飽和脂肪酸には気を付けよう!
  3. 卵は1日1~2個がベスト!

参考文献

著者
管理栄養士ひーこ

管理栄養士ひーこ

管理栄養士として2000人以上の保健指導に携わった後、フリーランスの道へ。企業さまの記事執筆・監修を中心にレシピ作成、栄養価計算、ダイエットサポートを行う。また、現在は薬機法・景品表示法・健康増進法の知識も保有、薬機法に配慮しながら商品の魅力を伝える広告チェック&ライティングも行っている。