「花粉症がひどいから薬がほしいけど、病院に行く時間が…」
そんな時は、市販の花粉症治療薬を使ってみませんか?花粉症は、日本人の2〜3人に1人が悩まされている病気で、市販薬の種類も豊富です。
今回は、処方薬と市販薬の違いや、市販薬の使い分けについてお伝えします。
市販薬にも処方薬と同じものがある
花粉症治療薬は、かなりたくさんの種類の市販薬があり、その多くが処方薬としても使われているものと同じ成分。
症状がそれほど酷くない方や、処方薬がなくなってしまった時の穴埋めとして使用したい方には最適です。
「1箱使い切っても症状がよくならない」を受診の目安にするとわかりやすいでしょう。
市販薬の使い分けは?
「市販薬=弱い薬だから安全」と思っている方もいますが、必ずしもそうではありません。年齢や持病によっては、使用を避けた方がよい薬も。
次からは、市販薬を選ぶときのポイントをお伝えします。今回ご紹介する成分は、全て処方薬も存在します。
万人向け代表はフェキソフェナジン
抗ヒスタミン薬のうち、第2世代と呼ばれる「フェキソフェナジン・エピナスチン・ロラタジン」の3つは、万人向けで比較的副作用も少なめです。
あまり眠気が出ないため、学校や仕事の日でも使うことが可能です。ただし即効性には欠けるため、毎日定期的に飲んで予防的に使うのがよいでしょう。
若い人ならジフェンヒドラミンも
第1世代と呼ばれる抗ヒスタミン薬は、眠気が出てしまいますが即効性がウリの抗ヒスタミン薬です。「ジフェンヒドラミン・クロルフェニラミン」などが市販されています。
「今すぐに鼻水を何とかしたい!」というときに頓用でも効果があり、便利です。
ただし、前立腺肥大症・緑内障の方は、持病を悪化させてしまう可能性があるため使用を避けてください。高齢の方は、口の渇きや便秘・尿が出ないといった副作用が出やすいので、あまり連用しない方がよいでしょう。
プソイドエフェドリンの連用に注意!
「プソイドエフェドリン」は、血管収縮薬という種類の薬で、鼻づまりに即効性があり、効果も高いです。
そのため、毎日続けて内服したくなってしまうのですが、連用は避けてください。
毎日使っていると「薬剤誘発性鼻炎」を起こしてしまいます。薬のせいでさらに鼻炎が悪化するという現象です。長くても2週間までの使用にとどめ、よくならないときは耳鼻科を受診しましょう。抗ヒスタミン薬と一緒になった薬として売られており、気がつかないうちに長期間使用してしまう可能性があります。成分をよく確認してください。
また、高血圧・甲状腺疾患・不整脈・糖尿病の方は、病気を悪化させる作用があるため使用できません。
まとめ
花粉症治療薬は、処方薬と同じ成分のものが市販薬として多数販売されています。病院に行かなくても、市販薬で十分対応可能です。
ただし、年齢や持病によって、使用を避けた方がよい薬もあるため、市販薬を購入する際には注意が必要。不安な方は、薬剤師や登録販売者にご相談ください。
参考文献
・松原篤 他. 鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較):速報-耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として. 日耳鼻 123: 485-490. 2020.
・児島悠史. OTC医薬品の比較と使い分け. 羊土社. 2019
監修者からのコメント
内科医
花粉症は大人に多い印象があると思いますが、近年はお子さま世代の花粉症も増加しているとされています。お子さまへのお薬の選択は大人以上に慎重にしたいものです。少なくとも初回は病院を受診し、花粉症でよいかを診断してもらい、市販薬でも代用できるか確認しておくと無難でしょう。対症療法ではなかなか辛い症状が改善されないほど重症な方もいると思います。そのような方はスギ花粉などに対する舌下免疫療法などの治療法もありますので、症状が強くて日常生活に支障が出てしまうような方は、検討してもよいでしょう。