健康診断で再検査に!尿糖・尿蛋白の検査でわかることとプラスだったときの対処法

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健康診断で再検査に!尿糖・尿蛋白の検査でわかることとプラスだったときの対処法

健康診断で行う尿検査は、糖尿病や腎臓病など、さまざまな病気を見つけるきっかけになる検査です。尿検査には数種類の検査項目があり、それぞれが基準値を外れると、医師の診察や再検査が必要になります。

この記事では、尿検査のなかでも、尿糖と尿蛋白を検査してわかることや、尿糖や尿蛋白がプラス(陽性)だった場合の対処法についてお伝えします。

尿糖・尿蛋白ってなに?

尿検査には、尿糖や尿蛋白、尿潜血、尿沈渣など、さまざまな検査項目があります。

そのなかでも、尿糖と尿蛋白は、労働安全衛生法に基づく健康診断や特定健診などで、定期的に検査することが推奨されている検査項目です。(加入している保険組合によって異なる場合があります。)

尿糖と尿蛋白は、それぞれ尿中に含まれる糖分とタンパク質を指します。

健康な人の尿には、ほとんど糖分やタンパク質は含まれていません。これは腎臓が尿をつくる過程で、尿中に糖分やタンパク質が流れ出ないように調整しているからです。

そのため、尿糖や尿蛋白の検査は、腎臓をはじめとする様々な臓器に関わる病気を見つける手がかりになります。

尿糖・尿蛋白が再検査になる基準は?

尿糖と尿蛋白の検査では、尿1dLあたりに含まれる、糖分やタンパク質の量に応じて、(−)や(+)、(2+)といった表し方をします。

正常な人の尿では、尿糖も尿蛋白も検出されないため、陰性という意味で(−)と表現します。反対に、尿糖や尿蛋白が検出された場合には、陽性という意味で(+)と表現します。

尿糖や尿蛋白の量が多くなると、(2+)や(3+)のように、プラスの前に数字をつけて示されることもあるでしょう。

一般的には、尿糖も尿蛋白も(+)以上で、再検査の対象となります。(検査機関によって異なる場合があります。)

尿糖や尿蛋白がプラスだったら病気なの?

尿糖や尿蛋白が陽性だった場合、原因は必ずしも病気によるものとは限りません。

尿糖がプラスだった場合

尿糖が陽性だった場合には、糖尿病や腎性糖尿の可能性があります。

糖尿病にかかると、血液中の糖分の量が増加します。そのため、腎臓が血液から尿をつくるときに、血中にある大量の糖分を処理しきれず、尿中に流れ出てしまうことがあるのです。

腎性糖尿とは、腎臓の機能が低下しているために、糖分が尿中へ流れ出てしまう状態です。腎性糖尿の原因には、遺伝によるものや、腎臓や尿管などの病気が考えられます。

尿糖が陽性だったからといって、すぐに糖尿病や腎性糖尿などの病気だと判断されるわけではありません。

尿蛋白がプラスだった場合

尿蛋白が陽性となる場合には、様々な原因が考えられます。

病気が原因の場合には、糖尿病性腎症や糸球体腎炎、尿路感染症、尿路結石など、腎臓や尿管、膀胱の病気が考えられます。

しかし、尿蛋白は病気以外の原因でも陽性になることがあります。例えば、発熱や激しい運動のあとには、一時的に尿蛋白が陽性になる場合があります。

また、ストレスやタンパク質の過剰な摂取によっても、尿蛋白が検出されることがあるのです。

尿糖・尿蛋白がプラスだったときの対処法は?

尿糖や尿蛋白が陽性だった場合は、医師の診察を受けましょう。一回の尿検査だけでは、陽性になった原因まで、調べることができないからです。

尿糖が陽性の場合には、原因が糖尿病によるものなのか、腎性糖尿によるものなのかを見分ける必要があります。そのため、糖尿病の検査をしたり、腎臓の機能を調べたりすることもあるでしょう。

尿蛋白が陽性の場合には、原因が病気であるかどうかを、見分けなければなりません。そのため、運動の影響を受けにくい起床直後の尿を検査したり、継続して何度か尿検査をしたりすることがあります。腎臓や膀胱などの、詳しい検査をするために、専門医の受診を勧められることもあるでしょう。

尿糖・尿蛋白がプラスだったら必ず医師の診察を受けよう

尿糖や尿蛋白を調べることで、自覚症状が出にくい糖尿病や腎臓病など、様々な病気を見つけるきっかけになります。

尿糖や尿蛋白がプラスだった場合には、必ず医師の診察を受けて、原因を調べてもらいましょう。

参考文献

・厚生労働省 e-ヘルスネット たんぱく尿

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-070.html

・一般社団法人 日本腎臓学会 腎臓病とは

https://jsn.or.jp/general/osikko/11.php

・公益社団法人 日本人間ドック学会 尿検査

https://www.ningen-dock.jp/public/inspection/urinalysis

・一般財団法人 日本予防医学協会 尿検査

https://www.jpm1960.org/exam/exam05.html

・日本臨床検査専門医会 専門医が教える健診で受ける検査の意味21 尿蛋白、尿糖、尿潜血の検査について

https://jaclap.org/guests/examination_no431/

・日本臨床検査専門医会 専門医が教えるよく受ける検査の意味21 尿蛋白、尿潜血、尿糖の検査について

https://jaclap.org/guests/common_no407/

・一般社団法人 日本腎臓学会 尿糖

https://jsn.or.jp/guideline/kennyou/21.php

・一般社団法人 日本臨床検査医学会 尿蛋白・血尿

https://www.jslm.org/books/guideline/05_06/077.pdf

・厚生労働省労働安全衛生法に基づく定期健康診断関係資料健診の検査実施方法および留意事項 (6) 尿中の糖及び蛋白の検査

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000136750.pdf

・循環器病予防ハンドブック 第7版 尿検査

http://www.jacd.info/method/nyoukensa.pdf

・一般社団法人 日本腎臓学会 第3章 検尿の位置付け

https://jsn.or.jp/guideline/kennyou/15.php

監修者からのコメント

内科医

高血糖の影響で尿糖がみられる場合は、血糖値が一時的でも160~180mg/dl以上になっている可能性があります。正常の血糖値は空腹時であれば100mg/dl未満、食後であっても140mg/dl未満とされているので、尿糖が出るということは糖尿病の可能性もあり得ますので放置しないようにしましょう。尿蛋白は一時的であれば病的ではないものが原因となることがあるので、慌てず病院で再検査をしてもらったうえで、繰り返されるようであれば原因を調べてもらうようにしましょう。