甲状腺の検査でわかること~TSH・FT3・FT4~

甲状腺の検査でわかること~TSH・FT3・FT4~

普段の健康診断ではなかなか検査されない、TSH・FT3・FT4という血液検査の項目。

人間ドックの検査であっても、『オプション』という形で検査をされることが多いです。

これら3つの検査の値の組み合わせによって、甲状腺の機能が亢進状態にあるのか低下状態にあるのかということがわかります。

TSH・FT3・FT4は甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモンという関係性があり、それぞれ単独で体内で働いているわけではありません。

今回は、甲状腺に関するホルモンについて解説します。

甲状腺のはたらき

甲状腺は、喉ぼとけのすぐ下にある臓器で蝶が羽を広げたような形をしています。

人間の新陳代謝を調節するための「甲状腺ホルモン」という重要なホルモンを作っており、身体の成長や機能を維持するために重要な働きをもつ臓器といわれています。

甲状腺ホルモン分泌のしくみ

脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺を刺激します。

甲状腺刺激ホルモンが分泌されると、甲状腺から甲状腺ホルモンが分泌されます。

甲状腺ホルモンは、体内のヨウ素を使って作られています。

また、脳下垂体は体内の甲状腺ホルモンを感知して、分泌量が多く(少なく)ならないように調節しています。

甲状腺ホルモンが過剰状態にあるときのしくみ

血液中の甲状腺ホルモンが過剰になると、脳下垂体はそれを感知して甲状腺刺激ホルモンの分泌を減らします。

すると、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが減少します。

甲状腺ホルモンが不足状態にあるときのしくみ

血液中の甲状腺ホルモンが不足すると、脳下垂体はそれを感知して甲状腺刺激ホルモンの分泌を増やします。

すると、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが増加します。

甲状腺機能検査

甲状腺ホルモンにはT3T4の2種類があり、甲状腺から分泌されるホルモンのほとんどはT4です。T3も一部は甲状腺から分泌されますが、多くは肝臓などの臓器でT4を材料に作られます。最終的にホルモンとして働いているのはT3です。

したがって、甲状腺のホルモン合成能力を調べるにはT4、甲状腺ホルモンの全身への作用の程度を調べるにはT3を測定します。

通常の状態ではT4が正常であれば、T3も必要なだけ作られます。

また、T3とT4はタンパク質に結合しているものと、結合していないもの(フリー:F)があり、フリーのT3であるFT3とフリーのT4であるFT4を通常は測定します。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)は脳下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの分泌を増やす作用があります。

脳下垂体は血液中の甲状腺ホルモンの量を監視していて、甲状腺ホルモンが不足しているとTSHの分泌を増やして甲状腺を刺激します。

甲状腺ホルモンが多すぎるとTSHの分泌を減らして甲状腺への刺激をストップします。

したがって、TSHを測定することで甲状腺ホルモンの過不足を知ることができます。

はっきりとした甲状腺機能異常の場合はFT3、FT4の測定により甲状腺ホルモンの過不足が分かりますが、ごく軽度の甲状腺機能異常の場合は、FT3、FT4の値が異常になる前にTSHが最初に正常範囲を外れます。

したがって、甲状腺機能異常を軽度の段階で見つけるにはTSHの測定が必要です。

検査の値からわかること

FT3は肝臓でFT4から作られるため、FT4がより甲状腺の機能を反映しています。

FT3やFT4が上昇したものを甲状腺機能亢進症とよび、体重減少、発汗亢進、動悸、手のふるえなどの症状を認めます。

TSHは前述したフィードバック機能により低下し、更に脂質代謝にも影響し、総コレステロールは低下します。 これらの症状・所見に眼球突出などの身体的特徴を伴うものをバセドウ病と呼ばれます。

FT3あるいはFT4が低下し、TSHが上昇しているとき、甲状腺機能低下症と診断されます。

一般外来では甲状腺機能低下症のほうが甲状腺機能亢進症より、多く認められる疾患といわれています。 中年の女性に多く、原因として自己免疫性疾患が考えられます。症状は機能亢進症とは逆に全身倦怠感、覇気がないなどの「うつ状態」様の症状や むくみなどの所見が現れます。

一般外来では総コレステロール上昇の原因追究時に発見されることがあります。

まとめ

いかがでしたか。血液検査において身体の様々な状況がわかる現代ですが、今回は甲状腺機能に関する検査項目について解説しました。

人間の身体には恒常性を維持するために脳が様々な指令を出しています。その代表例ともいえるのが甲状腺です。外傷と違って内分泌に関する疾患は表に現れてくる症状だけではなかなか診断が難しいため、ふとした身体の異常がきっかけで病気が判明するケースが多いです。普段無理をし過ぎたから月経異常が起きたのかな・・と感じ、婦人科に行ってみると実は橋本病だった。という症例もあります。普段の自分の健康状態を自分できちんと管理し傾向を掴んでおくことは重要であるといえます。

引用元一覧

監修者からのコメント

内科医、医師免許取得

甲状腺ホルモンは代謝活動を介して、人間の活動や健康状態に大きな影響を与えています。甲状腺機能の異常は遺伝的に起こりやすい方がいる一方で、特に原因がはっきりしない場合があります。検診(健康診断)などで喉元の診察をされると思いますが、そこで甲状腺が腫れているかも?甲状腺にしこりがあるかも?と指定された場合はきちんと内分泌の専門科がある医療機関でみてもらうようにしましょう。しこりが原因である場合を除いて、甲状腺の機能的な異常の多くは内服薬で改善することができるものが多いです。怖がらず専門家に相談してみることをお勧めします。

著者
柾本理恵

柾本理恵

看護師歴6年、財務・総務事務員歴6年、Mrs.JAPAN2020 BEST TRADITIONAL COSTUME受賞。医療・看護関連や美容関連の記事を得意としております。ポートレートモデル、コンテスタント向けスピーチ講師としても活動中。経験・資格:看護師(看護師歴6年)。