あっという間に重症化!夏に気をつけたい高齢者の脱水

あっという間に重症化!夏に気をつけたい高齢者の脱水

赤ちゃんは体の70%、若者は60%が水分なのに対し、高齢者では50%程度です。人間は体の水分を20%失うと死ぬと言われており、もともと水分量の少ない高齢者は若い人に比べて少しの脱水が命取りになってしまいます。

さらに高齢者では、暑さや喉の渇きを感じにくいこと、トイレが近くなるのが億劫なことなどから水分を取らない傾向にあり、脱水を起こしやすいです。

喉が乾く前でも意識的に水分を取るようにしましょう。

加齢と内服薬の2つの影響で若い頃より重症化しやすい

若い人は、脱水状態になったとしても、口から塩分を含んだ水分をとるだけで回復できる場合もあります。ですが、高齢者は点滴治療が必要になることも少なくありません。高齢の方は、あっという間に重症化してしまうからです。

その原因の一つに、薬を飲んでいることが挙げられます。高齢になると、持病の治療のためにナトリウムやカルシウム、カリウムなどのミネラル(電解質)の値を変化させる薬を飲んでいる方が多いです。ミネラルを増やす・減らす薬を飲んで、ちょうど良い値になるよう調節しています。血液検査の用紙を見たことがある方はご存知かもしれませんが、ミネラルには適切な濃度が定められており、濃度が高すぎても低すぎてもいけません。

例えば、ナトリウムは高すぎると意識障害の原因になり、低すぎると筋肉の痙攣などの症状を引き起こします。カリウムは、高すぎても低すぎても心臓が正しく動けなくなります。

ミネラルの調整は主に腎臓が担っていますが、年齢とともに自然と腎臓の働きは弱くなっていきます。若い時は、少しくらいの脱水なら腎臓が頑張って働くことでミネラルバランスを調整できますが、高齢になるとそうもいきません。ミネラルを調整する薬を飲んでいる高齢者が脱水を起こすと、腎臓の調整が追いつかずにミネラルの濃度が高くなってしまい、あっという間に症状が重症化するのです。

もしかすると、薬を飲むのが怖いと感じてしまったかもしれません。ですが、薬は体の調子を整えるために重要なもので、日頃から主治医の先生がしっかりと調整してくれています。脱水にならないよう十分に注意して、自己判断で薬をやめるのは避けましょう。

また、市販の漢方薬や下剤でもミネラルを変化させるものがある他、健康食品やサプリメントの影響で脱水を起こすこともあります。市販薬や健康食品を使っている場合には、主治医や薬剤師に伝えておくと良いですよ。

水分のとり方

一度にたくさん、ゴクゴク飲む必要はありません。1日1000ml〜1500mlくらいを目標にすると良いと言われていますので、コップに4〜5杯を目標にしましょう。

食事のたびに1杯ずつ、さらに午前に1杯、午後に1杯を少しずつとることで、目標量に近い水分をとることができますよ。

水分摂取に、スポーツドリンクを使用する必要はありません。たくさん汗をかいたのでなければ、水やお茶でけっこうです。とくに糖尿病の方は、スポーツドリンクを飲むことで血糖値が上がり糖尿病のコントロールが悪くなるだけでなく、急な血糖値の上昇で意識障害などを起こす可能性があります。糖尿病の方はスポーツドリンクを避けましょう。

また、お酒は利尿作用で水分を失うほか、分解するのに体内の水分が使われているため、飲めば飲むだけ体の水分がなくなってしまいます。水分として考えることはできませんので、注意してください。

水分制限のある方は医師の指示を守って

持病の関係で水分制限を医師から指示されている場合もあるでしょう。

心不全や腎臓病、透析中の方などは、体の水分量とミネラルバランスを厳格に調整しなくてはなりません。そのために、水分制限や内服薬での調整が行われています。

水分制限を守らないと持病が悪化してしまうことも考えられますので、医師から指示を受けている方は必ず指示を守ってください。夏場の水分量について心配であれば主治医にその都度相談し、増やしても良いか確認しておきましょう。あなたの病気や体のことをよく知っているのは主治医なので、持病のある方は、ネットなどで得た情報を安易に自分に当てはめて実行してはいけません。

まとめ

高齢者は、体の水分が少ないことや喉の渇きを感じにくいことから、夏に脱水を起こしやすいです。また、若い頃よりも腎臓の働きが弱まっていたり、薬を飲んでいたりする影響で、ミネラルバランスの調整も難しくなっています。脱水によって症状が重症化しやすい状態なので、喉が渇いたと感じていなくても、こまめに水分を取りましょう。

引用元一覧

監修者からのコメント

内科医

高齢の方の脱水症は重症化してから病院を受診することが多々あるため注意が必要です。また、脳梗塞や心筋梗塞など、症状が重なる疾患もあり、症状やパッと見た様子だけで判断するのは危険です。脱水症を予防するために、夏はエアコンを使用して室温を涼しく保つことが必要です。喉の渇きだけで判断せず、尿の回数が少ない、尿の色が濃い、頭が痛い、吐き気がする、食欲がないなどのよくある症状だとしても、「普段と違う」と感じたら早く病院を受診するべきです。また、脱水を予防するためにいわゆる真水だけをがぶがぶ飲むのではなく、糖質は控えめに、かつナトリウムなどのミネラルを少し含んだ飲料を選んで飲むようにしましょう。

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