健康診断で「なぜ腹囲を測定するの?」と疑問に思ったことはありませんか。腹囲の測定は、内臓脂肪面積を予測して内臓脂肪が過剰に増加していないかを確認するために行います。
この記事では、内臓脂肪面積の測り方や基準値、メタボとの関連や内臓脂肪面積が広くなって来てしまった時の対処法について説明します。
内臓脂肪面積とは?
内臓脂肪面積は、
内臓脂肪が体内にどれくらいあるのかを示しており、内臓脂肪面積が著しく広い場合は、内臓脂肪が過剰に蓄積された状態だと言えます。
内臓脂肪面積の測定は、主に健康診断や人間ドックなどで行われます。
内臓脂肪面積は、
内臓脂肪面積を測定するのはなぜ?メタボとの関連は?
ズバリいうと、
内臓脂肪は、私たちの体内で臓器を正しい位置に保持したり臓器を衝撃から守ったりする働きがあります。
しかし、内臓脂肪が増えすぎると血圧や血糖値の上昇、血中の脂質異常から、動脈硬化(血管が硬くなって、血のかたまりが出来たり、血管が詰まりやすくなったりした状態)を起こしやすくなります。このような状態を「メタボリックシンドローム」と呼びます。
メタボリックシンドロームは、
このような理由から、内臓脂肪の過剰な蓄積がある人を早期に発見し、生活習慣の改善や、適切な治療を呼びかけるために、内臓脂肪面積の測定を行なっているのです。
内臓脂肪が増えすぎるとメタボリックシンドロームに!
内臓脂肪面積の定期的な測定でメタボリックシンドロームの症状に早期対処が可能!
内臓脂肪面積の測り方は?
内臓脂肪面積は、
また、内臓脂肪面積を知るための簡易的な方法として、腹囲(へそ周りを水平に測定した数値)から、内臓脂肪面積を予測する方法もあります。
内臓脂肪面積の基準値は?
腹部CTで測定した
腹囲では、
メタボリックシンドロームの診断基準では、腹部CTで測定した内臓脂肪面積が100cm2以上であるか、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上であることが、診断の必須項目です。
腹囲でも内臓脂肪面積がわかる!
内臓脂肪面積が広いときの対処法は?
内臓脂肪の増加は、加齢によるホルモンバランスの変化や、乱れた生活習慣によって起こります。内臓脂肪は、食生活の改善や、運動によって減らしやすいため、以下のことに気をつけると良いでしょう。
食生活を改善する
糖質や脂質の多い食事を摂りすぎると、内臓脂肪が増加しやすくなります。
脂質を抑えるために、肉より魚を選んだり、洋食より和食を選んだりすると良いでしょう。糖質や脂質の多い、パスタや丼などの単品メニューには、野菜や海藻類、きのこ類など、食物繊維を多く含む食品を一緒にとるのがおすすめです。
間食をする習慣のある人は、市販のスナック菓子や菓子パンなどではなく、栄養補給ができる食品に置き換えてみましょう。
また、2000年以降は茶カテキンのヒトに対する研究も行われており、
フルーツ、ナッツ、ヨーグルトにより手軽に必要な補給が可能!
運動習慣をつける
運動のためにまとまった時間がとれない人は、日常の活動量をいつもより少し増やすよう、意識すると良いでしょう。エレベーターより階段を使う、近場の移動は徒歩や自転車にする、子どもと一緒に外遊びをするなど、簡単な行動からはじめてみるのもいいですね。
あまり外で運動をする機会がない方には室内で有酸素ができるような器具がおすすめです!
内臓脂肪面積の広い人はメタボに注意!まずは生活習慣を見直そう
内臓脂肪面積は内臓脂肪が体内にどれくらい蓄積されているかを知るためのひとつの指標です。内臓脂肪が多すぎると、命に関わる病気を起こすリスクが高まります。
引用元一覧
・厚生労働省 e-ヘルスネット メタボリックシンドロームとは
・厚生労働省 特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準
・厚生労働省 職場における心とからだの健康づくりのための手引きP.3、7
vol.141 皮下脂肪と内臓脂肪の違いはなんでしょうか?生活習慣病に関係があるのはどちらの脂肪なのでしょうか。
・T. Murase et al., Int. J. Obes., 26, 1459-1464(2002)
・A. Shimotoyodome et al., Med. Sci. Sports Exerc., 37, 1884-1892(2005)
・U. Harada et al., J. Health Sci., 51, 248-252(2005)
監修者からのコメント
内科医
みなさんはもしかしたら内臓脂肪を甘く考えていませんでしたか?肥満には皮下脂肪が蓄積するタイプと、内臓脂肪が蓄積するタイプがありますが、内臓脂肪タイプの方がより様々な疾患リスクが高いとされています。内臓脂肪からは悪玉のアディポカインという物質が分泌され、高血圧や糖尿病、脂質異常症を促進させる働きをします。さらに、良い働きをするアディポネクチンという物質を減らしてしまいます。そのためウエストは大きければ大きいほど体には良くないのです。ウエストは数値で現れる点でとても分かりやすい指標ですので、まずは生活習慣を見直してウエストを減らすことから始めてみてはいかがでしょうか。