お店に並ぶ食料品やサプリメントは豊富な品揃えで、そのどれもが魅力的に感じてしまいます。
では実際にどれを買おうかと悩んだとき、皆さんの中には含まれる栄養素の量などで判断する方もいるかと思います。
“ビタミン”という栄養素は多くの方がご存じではないでしょうか。
しかしビタミンといってもビタミンA、B、C……ものすごくたくさんの種類がありそうです。
さらに本やインターネットで“ビタミン”と調べてみても、水溶性や脂溶性……難しい単語が並んでいて、よくわからないこともあります。
それでも「ビタミンは人体にとって大事なものだろう」、というイメージがあります。
そこでこのページでは、ビタミンの中でもビタミンAについてお話をしていきたいと思います。
ビタミンAのゆくえ
ビタミンは体の中で十分に作り出すことができないために、食事として外部から摂る必要がある栄養素です。
ビタミンにはたくさんの種類がありますが、性質のひとつとして、「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」に分けることができます。
- 水溶性ビタミン:水に溶けるビタミン
- 脂溶性ビタミン:油に溶けるビタミン
ビタミンAが多く含まれる食べ物としてはレバーや牛乳、卵などが有名ですが、赤色や黄色の野菜もビタミンAの補給に適しているといわれます。
野菜に含まれている“β-カロテン”というものを摂取すると、体の中でゆっくりと時間をかけてビタミンAへと変わっていきます。
ビタミンAそのものを食べるか、ビタミンAになるものを食べるかの違いといえるでしょう。
実はβ-カロテンは赤だいだい色をしています。
そのためβ-カロテンが多く含まれる野菜には、赤色や黄色をしている物が多いといえるのです。
確かにカボチャやニンジンなどの野菜は黄色や赤色をしています。
それだけ多くのβ-カロテンが含まれている野菜なのです。
体内でビタミンAに変わったあとは、油に溶ける性質から、体中の脂肪組織や肝臓に多く蓄えられます。
なるほど、レバーにはビタミンAが多く含まれる理由がわかったような気がします。
夜間の見えにくさ
ビタミンAは体のさまざまな機能にとって大切な栄養素です。
たとえば肌の状態を整えたり、内臓の壁を整えたり、外部からの感染を防ぐためにも大切な役割をもっています。
おなじく私たちの視力にも関わりがあります。とくに夜間など、暗いときの視力に大切な役割があるとされます。
ビタミンAの働き
- お肌や内臓壁の状態を整える
- 感染に対する防御力を高める
- 暗い場所での視力を助ける
さまざまな人体の機能にとって大切なビタミンAですが、もしもビタミンAが不足してしまうと体に不調があらわれることもあります。
夜盲症という症状では、暗い中で物が見えにくくなってしまいます。
ビタミンA欠乏症
夜盲
しかしビタミンAの不足によって起こる可能性のある症状ですが、同じような症状が出る病気も考えられます。
またビタミンAが不足する原因も、偏った食事が原因とは限りません。
何かしらの原因でビタミンAがうまく吸収できない状態となっている可能性も考えた方がよいでしょう。
こうした症状を含めて、不安や心配がある際には
ホッキョクグマの肝臓
人体にとって非常に大切なビタミンAですが、逆に多く摂り過ぎてしまうと、それはそれであまり好ましい状態とはいえなくなってしまいます。
一般的に水に溶けるビタミンは尿と一緒に排泄することで調節されますが、油に溶けるビタミンは体に蓄えやすい性質から体に影響が出ることもあります。
しかし野菜に含まれるβ-カロテンをたくさん摂っても、影響は出にくいといわれます。
これは先ほど述べたとおり、β-カロテンは時間を掛けてゆっくりと体内で変化してビタミンAになる性質があるから、と考えられています。
ビタミンAはレバーに多く含まれるというお話をしました。
レバーといえば鉄分なども多く、栄養価が高い食材として知られます。
世界中でレバーは人気のある食材ですが、その中に「食べてはいけないレバー」というお話があります。
主に北の寒い地域、北極圏で生活する先住民の方たちはセイウチやクジラなどを食べる習慣があります。
もちろんホッキョクグマの肉も食べることはありますし、毛皮は防寒具としても役に立ちます。
しかし彼らには古くからの言い伝えがあり、絶対にホッキョクグマの肝臓(レバー)は食べないというのです。
飼育している犬にも食べさせないといわれています。
この理由はビタミンAの過剰摂取という問題にありました。
ホッキョクグマは肝臓に非常に多くのビタミンAを蓄えています。
ホッキョクグマの肝臓は、人間が食べると豊富過ぎるビタミンAが、
もしも皆さんが北極でサバイバル生活をするときには、くれぐれもご注意ください。
油と一緒に
ニンジンやカボチャにはβ-カロテンが多く含まれること。
また、ビタミンAは油に溶ける性質があるというお話をしました。
ビタミンAは大切な栄養素。
わかってはいるけれど、野菜をたくさん食べることが苦手という方もいるかと思います。
そこでβ-カロテンを効率よく吸収するコツがあります。
コツとはいっても簡単にできる方法です。
それは
たとえばニンジンであれば細長く切って油で炒めてみるのも手でしょう。
生でそのまま食べるよりも、β-カロテンを効率的に吸収できるといわれています。
ニンジンの風味が苦手な方でも、油と熱を加えて味をととのえることで美味しく食べることができるかもしれません。
さまざまな野菜を美味しく楽しく食べて、バランスのよい食生活を心掛けたいものですね。
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まとめ
人体にとってなくてはならないビタミンについてのお話をしてきました。
このページではとくにビタミンAを軸としたお話でしたが、どのようなビタミンであってもバランスよく摂ることが大切です。
お肉もお野菜もお魚も、さまざまな食材をバランスよく食べていくことは、健康な生活へと繋がると考えています。
先ほども述べましたが、体調が悪いからといって自己判断をすることは好ましくありません。
日々の食生活も含めて、不安や心配に思うことがあるときには医療機関の受診をおすすめします。
医師の診察によって食生活の改善へと繋げることも期待できますし、もしも治療が必要であれば早期の治療にも繋がります。
バランスよく、そして美味しい食事をいつまでも楽しめるように、健康を意識した食生活を心がけましょう。
監修者からのコメント
内科医
ビタミンAは眼の働きを維持するうえで欠かせない栄養素です。しかしながら注意したいのは過剰摂取です。ビタミンAは脂溶性ビタミンですが、脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすいので、過剰摂取によって悪影響が出ることがあります。特に妊婦さんのビタミンA過剰摂取は避けたいものです。サプリメントによってはビタミンAはβカロテンという表示をされていることがありますので、自身で栄養表示をしっかり確認し、適切な用法用量を守るようにしましょう。