日光の浴びすぎは危険?皮膚癌リスクを上げずにビタミンDを摂取しよう

日光の浴びすぎは危険?皮膚癌リスクを上げずにビタミンDを摂取しよう

骨の形成や健康な体の維持に不可欠なビタミンD。食品から摂るのはもちろん、日光浴でも体内で生成されることをご存知ですか?しかし多くの現代人は食事のバランスが偏っていたり、日光を浴びる時間が短いため、1日に必要なビタミンD摂取量を満たせていません。

また日光浴には紫外線による皮膚癌のリスクがあります。では、紫外線を浴びずに十分なビタミンDを摂取するにはどうしたら良いのか解説していきます。

1、ビタミンDの効果

ビタミンDは私たちの体にどうして必要なのでしょうか。普段あまり注意して摂取することが少ない栄養素ですが、とても需要な役割を担っています。

ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を2〜5倍ほど促進し、骨を強く健康に保つ役割を果たします。ビタミンDが欠乏するといくらカルシウムを摂っていても吸収させず、骨が柔らかく、もろくなります。

小児の場合は骨の成長障害を起こし、足の骨が曲がったり、姿勢が悪くなったり、くる病になります。最近の日本では乳児のビタミンD欠乏症が多く見られます。母乳にはビタミンD含有量が少なく、また日光浴の機会が少ない乳児は、ビタミンD欠乏症になりやすくなります。実際に母乳のみで育った乳児は、母乳とミルク混合で育った乳児よりも血中のビタミンD濃度が低いことがわかっています。

成人では骨軟化症の原因になり、骨の痛みを引き起こします。高齢者では長期にわたるビタミンDとカルシウム不足により加齢に骨粗鬆症を引き起こしやすくなります。特に女性は閉経後エストロゲンの分泌が減少することもあり骨密度が低下しやすくなります。また足腰が不自由であったりして外出の機会が減る高齢者や高齢者施設に入所中の高齢者は、ビタミンD不足に陥りやすくなります。

この他にも、最近の研究ではビタミンDが癌やⅠ型糖尿病の予防、免疫力の強化などに関わっていることが少しずつ明らかになっています。

2、日光浴と皮膚癌リスク

ビタミンDは紫外線を浴びることによって体内で生成されます。屋内で窓ガラス越しの光を浴びるだけでは、ビタミンDは生成されません。

しかし多くの研究で紫外線を浴びすぎると人体に害があることがわかっています。急性障害としては真っ赤になる日焼け(サンバーン、サンタン)、免疫力の低下、皮膚の炎症、皮膚の炎症による口唇ヘルペスの再発、などがあります。

また長年日光を浴び続けていると、皮膚のしわやシミ、時には良性・悪性の腫瘍が現れます。悪性腫瘍は皮膚癌であり、治療しないとより悪性化し、転移すれば命に関わります。

3、適切な日光浴方法

ビタミンD必要量は年齢により異なります。米国食品栄養委員会では1日あたりのビタミンD摂取推奨量を下記のように定義しています。(国際単位;IU)

生後12か月   400IU

1〜70歳     600IU

70歳以上    800IU

日光浴によりビタミンDを体内で生産するには、個人の皮膚の状態や季節、天気、場所により一概に「○○分」とは言えません。

例えば、東京都内の8月1日晴れた日に、両腕と顔を日焼け止めをせずに露出した状態であれば、3分間ほど日光浴が必要と言われています。また同様に1月1日に手と顔を露出した状態では50分間ほど日光浴が必要と計算されます。

しかし、米国皮膚科学会は皮膚癌のリスクがあることから、日光や屋内マシーン(日焼けサロン)からビタミンDを摂取することを推奨していません。

そのため、数分間にわたって日差しの下に出る場合は、紫外線を遮る衣服と帽子を着用し、SPF30以上の日焼け止めを塗ることが必要です。

4、食事・サプリメントによる摂取方法

ビタミンDを含む天然の食品は非常に限られています。日本人の食事からのビタミンD摂取の8割が魚からと言われています。

ではどのような食品を食べれば良いのでしょうか。

  • サケやマグロ、サバといった脂肪性の魚類(最も含有量が多い)
  • キノコ類
  • 牛のレバー、チーズ、卵黄にも少量含まれる
  • その他ビタミンD強化の食品(牛乳やシリアル、ヨーグルトなど)

現代多くの人がビタミンD不足と言われています。

ビタミンDの1日必要量を安定して摂取するには、食品の他にサプリメントの活用も推奨されます。

市販のサプリメントにはビタミンD2とビタミンD3が配合させているものがあります。いずれも血中のビタミンD濃度を上げることができます。

特に、

  • 母乳で育てられた乳児(または母乳のみで育てている)

母乳にはビタミンDが少ないため、このような場合は毎日400IUのビタミンDアプリメントを与えることが推奨されます。

  • 高齢者

高齢者の皮膚は若年者と比較してビタミンD生成能力が低くなります。また外出の機会の減少や制限食などによりビタミンDが欠乏するリスクが高いです。

  • クローン病やセリアック病など

脂質処理機能に異常がある人はビタミンD吸収が阻害されています。

  • 肥満の人

肥満になると脂肪とビタミンDが吸着して吸収が阻害されます。

  • 皮膚の黒い人

皮膚が黒いとビタミンD生成機能は低下します。

上記に当てはまる場合は、十分なビタミンD摂取ができていな可能性があります。サプリメントを特に積極的に活用した方がいい人といえるでしょう。

また持病があり現在通院中である方、内服薬を飲んでいる場合は、サプリメントを飲む前に必ず医師、薬剤師に相談してください。

5、まとめ

ビタミンDは骨の健康だけでなく体の健康維持のためには欠かせない栄養素です。

日光浴でのビタミンD生成は、皮膚癌のリスクを上げるため現在推奨されていません。

1日に必要なビタミンDをきちんと摂取できるよう、食品の工夫、サプリメントの活用を積極的に行っていきましょう。

<引用元一覧>

環境省 紫外線保護マニュアル2015年度

https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf

厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586561.pdf

American Academy of Dermatology Association

https://www.aad.org/media/stats-vitamin-d

厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/10.html

監修者からのコメント

内科医、医師免許取得

ビタミンDは近年かなり重要なビタミンであることがわかってきました。妊娠中の方から小さなお子様、さらには高齢の方まで、全世代に渡って必要な栄養素といえます。ただし注意するべきなのは過剰摂取です。脂溶性ビタミンという分類に入るビタミンDは、多く摂取しすぎると体内に蓄積されて悪影響を与えるので、サプリメントで摂取する場合は用法用量を守って飲むようにしましょう。お子様にはサプリメントではなく、食事から必要量を摂取できるように意識して食品を選ぶようにしましょう。