健康診断でも多くの方が気にする項目のひとつに
人間が生きるための重要なエネルギーとして糖分に適応してきたこと。野生動物だった人間が生き延びるために備えた身体の機能。
そうした部分にも触れながら、血糖値についてお話を進めていきましょう。
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糖分は大切なエネルギー
人間はすべての生命活動に使用するエネルギーを、体外からの食事によって摂取しています。
純粋にエネルギーとして利用するためにもっとも効率がよく安全なものが「炭水化物」、つまり糖質です。
たとえばお米を食べると消化酵素の働きによって分解されていき、細かくなって「グルコース(ブドウ糖)」とよばれる小さな糖になります。
エネルギーがなければどのような生物でも生きることはできません。
【column💡】人間のエネルギーとの付き合い方
人間が野生の動物だった時代、今のようにいつでも好きなときに食事が摂れるという保証はありませんでした。
時として数日もの間、食べることができないということも日常でした。
その数日間の空腹で「餓死」してしまえば、それは種の保存にも大きな影響が出てしまいます。
そのために脂質やタンパク質を利用してエネルギーを獲得する手段も人間は持っています。
また食事を摂ることができたときに、きたる飢餓に備えて体中に栄養素を貯蓄する能力を得ました。
こうして人間は野生生物だったころから今にいたるまで、可能な限り「餓死」を避けるためにリスクを分散して生き延びてきたのです。
血糖値を下げるホルモン
唯一インスリンだけ!?
食事から摂取した糖分は、私たちの血液に乗って体中のすみずみにまで運ばれていきます。
もしも血糖値が極端に下がってしまえば、体中が生きるための活動をするエネルギーがなくなってしまいます。
その状態を避けるために血糖値を安定させたり、血糖値を上げるホルモンはさまざまな臓器から出されることが確認されています。
一方で
なぜ「インスリン」だけ?
なぜでしょうか。
私たち現代人にとって、血糖値が高いとさまざまな病気につながるだろうというイメージがあるのに、不思議に思うことでしょう。
~ほんの少し想像をしてみましょう。~
皆さんは野生の動物で、目の前の天敵から逃げなくてはならない状況です。
逃げきれなければ食べられて死んでしまいます。
逃げるためには、たくさんのエネルギーを使って筋肉をフル稼働させる必要があります。
逃げ道を選んだり状況判断をするためにも、頭をフル回転させなくてはなりません。
その状況で
つまり今の緊急事態を生き延びるためにも、血糖値を上げるホルモンは複数あると考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
インスリンがうまく働かないと
血糖値を下げるホルモンはインスリンだけ、というお話をしました。
確かに野生生物が生き延びるためには、血糖値を下げるよりも上げる方向に進化した方が生き延びやすいと考えれば仕方がないかもしれません。
ところが私たちが生きている人間社会では、若干異なる部分があります。
天敵を警戒したり、天敵から逃げるという場面は、すでに一般的とはいえません。
すると今度は、血糖値を下げるインスリンの役割が脚光を浴びることになります。
もしも栄養が豊富な状態で、常に高い血糖値をコントロールする場面ではどうなるでしょうか。
インスリンがいつもよりもずっと必要な状態が続けば、インスリンを出す細胞が疲れてしまうこともあるでしょう。
身体の出すインスリンに慣れてしまって、うまく血糖値が下げられなくなることもあり得ます。
インスリンというホルモンは血糖値を下げます。
これはつまり隅々の細胞に血糖を置いてくる、と考えることもできます。
インスリンがうまく働かなければ、身体のエネルギー管理にさまざまな問題が生じてしまうのです。
こわい糖尿病
生まれつきインスリンがうまく出せない体質や、インスリンを出す細胞が疲れてしまう、インスリンがうまく反応しないなどの理由で起こる病気があります。
糖尿病(diabetes mellitus:DM)[4]とよばれる病気です。
ラテン語で「甘いおしっこ」という意味を持つ病気で、身体が管理できる以上の糖分は尿から排泄されてしまいます。
身体にとても大切な「糖分」ですが、貯蔵できる限界を超えた分は捨てざるを得ません。
そうして尿に糖分が排泄されるので、「尿が甘い」→「糖尿病」という名前がつきました。
糖尿病は私たちにとって大きな注意をしなくてはならない病気のひとつです。
糖尿病になると栄養失調を避けるために脂肪やタンパク質をフル稼働で使用しますが、それでも栄養が足りなくなってしまいます。
すると
血管の状態がわるくなることは全身で起こるので、目や腎臓だけではなく心臓や脳の血管に影響が出て、大きな病気にもつながりかねません。
そのためにも、しっかりと血糖値を管理することが大切となってきます。
まとめ
血糖値のコントロールを確認するときに、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の検査を行うことも多くなってきました。
これは糖分がくっついたヘモグロビンの割合を測定するもので、採血前1~2か月の平均の血糖値を指標として反映している検査です[3]。
良好な検査結果を得るために、検査の数日前から断酒や節食をするという話をよく聞きます。
その心がけは大切ですが、じつは検査結果ではすべて筒抜けですのでご注意を!
そうした心がけを日々の習慣にする意識が大切です。
監修者からのコメント
内科医
血糖値を下げるためにやりがちなのは炭水化物(糖質)を完全に抜いてしまうことです。ダイエット方法として糖質制限が流行るようになり、確かに炭水化物の量を抑えることで着実に体重は減少します。しかし全く糖質をとらないと、主な栄養源が糖質である脳がうまく働かなくなったり、時々どっさりと糖質の多いものを摂取した時に、糖質制限していない時よりも反動で大きく血糖値が上昇してしまいます。そしてその血糖値の大きな変動こそが血管をぼろぼろにしてしまう要因になるのです。食事制限だけでなく、運動をして糖質を消費したり、筋肉をつけて糖質を消費しやすくするなど、全方向から血糖値を下げるように習慣づけを行いましょう。